Palazzo Ducale(ドゥカーレ宮殿)
現在、我々はほとんどの場合、鉄道駅の側から陸路によってヴェネツィアに入ります。ヴェネツィアの中心(中枢)、サン・マルコ広場へは幾つかの橋を渡りながら徒歩によってアプローチすることになりますが、その場合、広場に到着して先ず目に付くのはサン・マルコ寺院であり、ドゥカーレ宮殿は広場の裏手に位置しているように感じられてしまいます。しかし本来は、運河(海)から船に乗ってやってくるのが正式な経路であり、その上陸地点に向って建つドゥカ―レ宮殿こそがヴェネツィアの表の顔、サン・マルコ広場の表側にあたります。
ヴェネツィア共和国の最高権力者である総督の住居であるとともに、行政と司法の場でもあるこの瀟洒な宮殿も、始めに建設された800年代当初は城塞の役割を果たしていたそうです。現在の建物は14世紀のものであり、ヴェネツィア・ゴシックの最高傑作との誉も高い。
宮殿内部。下写真は「大評議会の間」。世界最大の油絵といわれるティントレットの「天国」が観光客を掻き集めるが、やはりガイドブックが喧伝するほどの感動は得られない。それはもちろん絵そのものが悪いためではなく、絵画と空間との関係が観光客が得んとする感動にとって不適切なため。その場に立って見るよりも、写真や画集で見た方がまだ見やすいというものです。
上写真:中庭。

宮殿内部で見つけたちょっと良い小空間。

右写真:ドゥカ―レ宮殿とその裏にある牢獄とを結ぶ橋。通称「溜息橋」から垣間見える娑婆の風景は、牢獄行きの人々が見る最後のもの。

左写真:溜息橋を渡る。

上写真:途中の飾り窓の隙間から垣間見えるサン・マルコ運河。

牢獄内部。