Terme di Caracalla(カラカラ浴場)
なんという雄大さ! 雨上がりの朝の煙る光の中、その頂きには白い鳥。そそり立つ奇岩とも思えるその姿。偶然が造り出した形だが、それが獲得している雄大さといったらない。これよりも大きな建物等、実際には幾らでもあるだろう。高層ビルや巨大マンションはもとより、コロッセオや大きなバジリカにしてもそうだ。だがそれらからはこれほどの雄大さを感じない。大きな違いは、空の有無、そしてその空と交わる形にこそあるのだろう。ある程度以上の大きさを裏付けに、効果的な形態を以て空と交わること。空間の抑揚に頼らずに、大きさを感じさせる無二の手段へのヒントがここにあるのではないかと思われる。この廃虚は、なにしろもうどうしようもなく雄大なのである。