Scala SantaS.Giovanni in Laterano教会
スカラ・サンタ
上左写真:正面ファサード。
上右写真:側面、手前の広場はS.Giovanni in Laterano教会の広場。
階段がすべてとも言えるこの教会。入口を入ると、キリストが十字架に架けられる前に昇ったという28段の階段(Scala Santa「聖なる階段」)を中心に、平行して左右に二本ずつ、計5本の階段が間口のすべてを占め、上へと続いています。Scala Santaは、祈りを捧げつつ膝で昇る決まりなのですが、実際に膝で昇ってみると最初の数段で音を上げそうになる痛さ。ただ昇るだけでなく、祈りを捧げながらゆっくりと、一段一段、痛みを噛み締めながら昇るのです。遺物や遺骨や美術品のような有難い見せ物のどんなものよりも、こうした特別な体験こそが、なににもまして強烈にこの場所を特別なものにしています。
階段を膝で上りきった先にある祭壇(上左写真)と右手奥にある礼拝堂(上右写真)。
下りと通常の昇り降りには側階段を使用します。
S.Giovanni in Laterano教会
キリスト教を初めて公認したコンスタンティヌス帝によって建てられ(314年)、法皇に寄進された教会。その縁起に相応しい規模と装飾の完成度を誇ります。が、単なる量や大きさの倍増は感動の微増にしか繋がらないものです。
左写真のような巨大な前室は、イタリアの大聖堂にはよく見られるものですが、まずはこれが良くありません。
我々はまず、広場からファサード全体を眺めることで、聖堂の規模を認識します。そのときは大した感動はないものの、「大きいな」くらいには感じます。その後、非日常的な広さ高さの前室に入って天井を見上げたりするのですが、どんなに大きくても天井が空より高く見えるはずはありません。従って、ここでもやはり大した感銘は受けないのですが、ともかくも前室ですっかり非日常的な広さに慣らされてしまってから、いよいよとばかりに中に入るのです。そこはもちろん、数値上は期待を裏切ろうはずもない巨大空間なのですが、そこに至るまでの間に感覚を麻痺させられてしまっているからには、心を動かされろという方が無理な話です。
正面に見えるのは法皇の専用祭壇。
天井の装飾は、これほどの距離をおいても何が描かれているのか分かるようにモチーフが大きく、また金の分量もが多すぎます。深みがなく、実際より近く感じられ、これもまた空間の巨大さや深みを効果的に殺してしまっています。
↓メリハリなく巨大な側廊
↑大聖堂の裏手、ラテラーノ広場。正面が大聖堂裏手側面、左にラテラーノ宮(Palazzo Laterano、アヴィニョン幽閉以前の歴代法皇の住居)、右に洗礼堂。かつては街路が交わる良い広場であったのではと思われますが、自動車主体の現在はただのスペースになってしまっています。

←↓洗礼堂内部