Santa Maria Maggiore(サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂)
テルミニ駅の西側、カヴール通りをはじめとする多くの街路が交わる結節点にある大聖堂。4世紀の創建以来、改築を繰り返されてきた建物には、各時代に造られた見せ物が御客様を待っています。中央祭壇のモザイクは5世紀、後陣のモザイクは13世紀、シスト5世の礼拝堂はルネサンス、パオリーナの礼拝堂はバロック、等々。長い長い歴史の中で、生々しく燃える精神の炭素は遠の昔に燃え尽きて、いまでは置き火すらも見あたらない。あくまでも個人的な印象です。
←暗闇でなにも見えなかった奥の壁に、日が入ることでイメージが現れる。この部分にはなかなか神聖なものがありました。
大聖堂裏手、エスクイリーノ広場。テルミニ駅正面のチンクエチェント広場から延びるカブール大通りと交錯する大きな広場で、多くの街路がここで交わる。いまでは息吹きの感じられない枯れた広場のようですが、自動車が交通の主役となる以前には違った光景が広がっていたことでしょう。階段状の基壇の周りにはフェンスが張り巡らされているのですが、夜にはこのなかにゴミが投棄されたりもしています。この国はどこへ行っても、それはもう呆れるほどに教会だらけ、中に入ればキリスト教物語の教化的作品が目白押、聖人の名前は道から駅から何にでも名付けられ、端から見ているとそのようなアイデンティティーの補強っぷりは病的とさえ思えるほど。キリスト教、キリスト教、キリスト教。繰り返し語られるその価値観。くどいほど示される生き方の指針。そんな現実がある一方で、宗教施設で働く職員は敷地内でタバコを投げ捨てる、飼い犬の糞はさせっぱなし、観光客を狙うセコい悪党はほとんど野放し、聖なる総本山ではエジプトの死体が見せ物にされている。この違和感もまた現実なのだから、現実を正確に語るのは極めて難しいと言わざるを得ません。
入口側

列柱は古代ローマの神殿からとられたもの。

内陣側
←主祭壇とその地下