地下ナポリ(Napoli Sotterranea)
明暗、美醜、聖俗、盛閑、乾湿、克己と堕落、あらゆる位相において相反する方向が突き詰まって交錯するナポリ。その構図は、街を歩く私達の足の裏、その上と下にもあるのです。地上のナポリと地下のナポリ。地上のナポリを反転させたかのような地下のナポリ。掘り尽くすことなど不可能とさえ思われる金鉱脈。
地上のナポリを見学する窓口となるNapoli Sotterranea。サン・ガエタノ広場、サン・パオロ・マッジョーレ教会左側の路地を入った突き当りに受付があります(地下への出入口もあります)。数人ごとに、ガイドに案内されての見学となります。
こちらはサン・ガエタノ広場、サン・パオロ・マッジョーレ教会右側の路地の途中にあるアパートメントにある地下への入口。街路に面した普通の住戸の地上レベル。ベットを退かして床の扉をめくりあげると階段が現われます。
↓階段を降りて地上の部屋を振り返る。
地上の通りの喧噪、何の変哲もない住戸の床下から広がる世界の果てしなさ。はじめに現われた階段は、疲労を感ぜずにはいられないほどに下へ下へと降りて行く。
降りた先にはギリシャ・ローマ時代(B.C.4-A.D.2)の大きな劇場が待っています。地上の遺跡を見るように劇場の姿が見えるわけではなく、劇場空間も埋もれていて、我々が目にすることのできる部分はほんの一部分でしかありません。しかしそれでも、これほどの地下にあっては、想像力が視覚を補って余りあるほどに働きます。
上写真の大きな柱のような立体は竪穴を塞いだもの。
下左写真、黒い人形の輪郭は竪穴を登る様子を再現したもの。
←石の切出し作業を再現した展示
地下空間は戦時中は避難場所として使用された。下の落書きは下から、地球、「我々は勝つ」、ヒトラーとムッソリーニ。
ここから先はしばらくの間、ロウソクの明りのみで進みます。通路はすぐに体を横にしなければならないほどに細くなる。ロウソクは左右の壁を照らすのみで、行く先の様子はおろか水音のする足元さえ覚束ない。一緒に見学した恰幅の良い男性は、狭い通路を通れずにここで脱落。左写真のスタート地点で一人待つことに。
水は豊富に湧き出して、ところどころで地底湖のようになっている。井戸として利用されるところでは、竪穴の上部から吊り下げられた壺や瓶が上下する。
地下のワイン工房。上写真は瓶を利用した窓上左写真右下の階段は左写真の螺旋階段に接続し、地上へと果てしなく昇って行く。
見学ツアーの解散地点。中央の黒いドアが地下への出入口。