San Nicola教会
外装はほとんど単一の石による白一色。青空に漂う雲と、光を分け合っているかのよう。そして時が経ち、日が傾けばサーモンピンクに染まります。日が落ちてしまうことへの不安も忘れ、この地ならではとも言える美しさに見愡れずにはいられませんでした。
扉を開けてなかに入ると、一転して光の量が減り、しんと静まり返った冷たい空気に包まれます。床と柱、そしてアーチといったアイレベルで目に入る要素は、外壁同様、美しい白石で造られたミニマリズム的なもの。しかし見上げれば、身廊の天井にのみ、彫の深い黄金色の額縁がめぐる絵画による装飾が。まったく、なんという潔さ! 教会の装飾には、様々な手法とそれらの組み合わせおよびバランスが見られますが、サン・ニコラにおける建築と装飾との関係は、間違いなくベストなもののひとつと言えるでしょう。
最も遠く、最も光が当りにくく、最も鑑賞には適さないところに施された装飾。深く沈み込むような色調の絵。弱い光線を捉える黄金。「陰影礼讃」的美の世界。
地下礼拝堂(下写真)。